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「フランシスコ・ザビエルの特集番組をやりますが、そのナビゲーターをやってみませんか。」
16世紀初めスペインで生まれ、宣教師としてインドや中国をまわり、そして日本に初めてキリスト教を伝えた人物、ザビエル。2006年は彼の生誕500年にあたっていた。世界各地で様々な式典や行事が行われるなか、NHKも、記念の特集番組をつくろうということになったのだ。
私がスペイン語を学んだ母校の上智大学は、そのザビエルが所属していたイエズス会の理念に基づいて建学されたという因縁もあるし、20世紀スペインの生んだ詩人・劇作家ガルシア・ロルカの「血の婚礼」にも出演しているし、どうやらこのザビエルの足跡をたどる案内人にはいいのではないか、ということらしい。
これまで私にとって、ザビエルは近く、テレビの世界は遠いものだった。
幼稚園からミッション系の学校に通い、聖書や賛美歌には慣れ親しんできた。また、小さい頃に本で見た南蛮屏風や、切支丹にまつわるものへの興味が、西洋と日本の文化接触へと目を向けさせ、それがスペイン語学科志望のきっかけになったこともある。
そして、ミュージカル「レ・ミゼラブル」や「ナイン the musical」等、西欧の作品に出演すればするほど、キリスト教って・・・という疑問と興味が湧いていた。この機会に、その答えが少しでも見つけられるかもしれない。
しかし、映像の仕事というのはなにぶん初めて。不安は大きい。
「心配しなくていい。宮さんがザビエルのたどった道を訪ねる、宮さん自身の彼への強い興味や疑問を持ってやればいい。そのことは視聴者と、ザビエルとの500年の時をつなぐことになるかもしれません。」
というプロデューサーのお言葉に勇気を得て、2006年10月、旅がはじまった。
番組は、1516年にスペインのナバラ(現在のバスク地方)で生まれ、1552年中国の上州島(広東の近く)で亡くなるまでの、47年のザビエルの生涯を追う。
私が担当するのは44歳から46歳まで、わずか2年半の日本での布教の部分。
鹿児島、大分、長崎、山口をまわることになる。
ディレクターから手渡されたのはザビエルが異国での布教の様子をイエズス会に伝えた書簡集(もちろん翻訳版)と、一枚の楽譜だった。
書簡集の日本での布教の部分には、初めて見る日本人の印象、生活習慣の違い、布教の難しさが事細かに記されている。これこそ最高の道しるべ、これを持って各地をまわるのだ。
もうひとつ、楽譜。見慣れない四角い音符と音階に、ラテン語と思われる歌詞。メロディをおってみると、荘厳な賛美歌のよう。ロケの最後に訪れた長崎県の小さな島、生月(いきつき)島で、この歌にこめられた大きな意味を知ることになろうとは、このときは予想もしなかった。
振り返ってみれば、ザビエルの足跡をたどる旅とは、この歌を探す旅でもあったのだった。
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